また君に会いたいとか

日々の備忘録

【勝手に解釈】「惑星(ほし)のかけら」(スピッツ)

 

 

こんにちは、トパーズです。

 

 

やっと3枚目のアルバム『惑星のかけら』に突入。

たぶん、好きなスピッツのアルバムの上位に入ります。

 

いろんな意味で「大人っぽく」なっていく過程での

若いスピッツっぽさが色濃く残っていると思います。

若者特有の恥じらいや意地っ張り、苛立ち、

がむしゃらさ、無謀さ、

天邪鬼さ(草野さん特有かもしれないけど)

何とも言いようのない切なさ、

に溢れたアルバムだと思います。

この時期の歌が好きです。

 

 

 

「惑星(ほし)のかけら」(作詞・作曲:草野正宗は、

スピッツの3枚目のアルバム

『惑星(ほし)のかけら』(1992年)の

1曲目に収録されています。

 

 

☆君にとって僕の存在は?

   

 

 

※あくまで私なりの解釈で、

 これを強要するとか、他の解釈を否定する意図はありません。

 【勝手に解釈】は、私の妄想のページと思ってください。

 

 

イメージ

 

 

君と、人目を忍んで逢瀬を重ねている僕は、

薄氷を踏むような、危うい関係を続けています。

 

君の本心がわからず、

不安にかられているのです。

 

僕のことだけを考えてほしい、

僕だけを見ていてほしい。

 

胸が張り裂けるような切ない歌です。

 

 

 

 

 

歌詞を少しずつ見ていきます。

 

 

 

知らないふりをしていたんだ

君の夢を覗いたのさ

二つめの枕で クジラの背中にワープだ!

 

いきなりの強がりで、ほら、アマノジャク。

 

「知らないふりをしていた」

これは、「知りたくて知りたくてたまらない」

ということの裏返しですよね。

 

「君の夢を覗いた」

君の夢を「知りたくてたまらない」

「君の夢」は「君の本心」ということでしょう。

君の本当の気持ちを知りたくてしょうがないんです。

 

君に尋ねても、うまくはぐらかされるんだと思います。

 

 

「二つ目の枕」は、

二度寝、もう一度眠るということでしょうか。

眠って、現実よりも夢の中に戻りたいのでしょう。

だって、夢の中では二人は幸せに過ごしているのです。

 

lovetopaz.hatenablog.com

 

 

「クジラの背中」は君の背中のことでしょうね。

 

夢の中の君の背中に瞬間移動して

夢の中で君が語ってくれた僕への愛を

何度でも確かめたいと思っているのです。

 

それくらい、君の愛に飢えている、

というか、

君の本当の気持ちが知りたいのです。

 

 

この、君の「背中」という表現はよく出てきますね。

 

「日曜日」(『名前をつけてやる』)や、

「プール」(『名前をつけてやる』)でも。

 

 

lovetopaz.hatenablog.com

 

 

 

 

ベチャベチャのケーキの海で 平和な午後の悪ふざけ

はかなげな笑顔で つま先から溶けそうだよ

 

「べちゃべちゃのケーキ」は、

出来損ないのケーキということではないでしょうか?

そもそも、歌詞に使うようなワードじゃないと思うんですが。

 

二人の関係には

何か大きな障害・困難があって

周囲からは祝福されないんじゃないですか。

というか、

公にできない、人目を憚る秘密の関係でしょうか。

たぶん、

君には恋人や配偶者がいるのかもしれませんね。

 

それで、君は僕に対して

はっきりした意思表示をしないのではないかと。

 

そんな「不完全」で「あやふやな」関係だから

出来損ないのケーキのようと表現してるのだと思います。

 

 

「海」という表現は、

べちゃべちゃだから、水っぽいというのではなく

二人一緒の時の歌詞は

「海」や「プール」「湖」のような

水の中を思わせる表現が多いと思うのです。

 

たぶん、二人で睦みあっている時間

(何と古風な表現かと思われるでしょうが、

結構ギリギリの表現です)

よく「水」を連想させる表現が使われているんです。

水の中での戯れです。

 

水の中では裸に近い、

あるいは裸であることが多いから

そういう表現なのかもしれないですね。

 

抱きしめたと思ったら、するりと離れていく、

そんなもどかしさも感じられます。

 

そんな二人の、幸せなはずの時間は

僕にしたら「悪ふざけ」なんですね。

 

しかも「午後」というのが何とも・・。

何とも切ない。

午後の短い時間にしか

僕といることができないんですね、君は。

 

それでも平和に見える時間に、

ふざけているだけにすぎない。

濃密な愛の時間ではないと感じているのです。

 

しかも君の笑顔は

喜びに溢れた満面の笑みではなく、

「はかなげ」なのです。

今にも真顔に戻りそうなくらいの。

そんな「微々たる」笑みを浮かべた君を見ると

僕は失意に押しつぶされそうになるのです。

 

辛いですね。

 

そういえば、「夏の魔物」(スピッツ)でも

君は「少し笑った」んですよね。

表を堂々と歩ける恋愛ではなさそうですね。

 

 

 

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら

骨の髄まで愛してよ 僕に傷ついてよ(*)

 

「骨の髄まで」って、すごく強い言葉ですね。

 

昔、「骨まで愛して」(城卓矢

藤圭子宇多田ヒカルのお母さん)も歌ってる)

という歌がありましたね。

子供心に執念を感じました。

 

しかも、「僕に傷ついてよ」です。

そんな表現って初めて見たかもしれません。

男性から女性に訴えているんです。

 

でもなんか、わかりますね、その気持ち。

 

好きになると、相手の全てが気になりますよね。

何を考えているのか、

どこに行ってたのか、

今度いつ会えるのか・・・・、

そんな、恋をすると普通に湧き上がる気持ち、

執着心や猜疑心、嫉妬心、不安・・・

僕はいつも君に対してそんな気持ちで一杯なのに

君にはそんな気持ちは少しも感じられないんです。

 

もっと僕に嫉妬してほしい、

もっと僕を束縛してほしい、

もっと僕を気にしてほしい・・・・、

僕のことでもっと心を痛めてほしいと願ってるんです。

 

何だか雲を掴むような捉えようのない気持ち、

切ないですね・・・。

 

歌の題名でアルバム名でもある「惑星(ほし)のかけら」。

君と僕は、元々は同じかけらだった。

神の怒りに触れたせいか?

今は別々のかけらになってしまってると

僕は思っています。

 

離れ離れになった片方に

僕は必死で訴えています。

 

 

 

君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い

オーロラのダンスで素敵に寒いひとときを

 

君を離したくない僕は、苦肉の策に出ます。

君のスカートをはいたようです!

 

「変態」チックなイメージを持たれているここの部分は、

確かに「えっ!?」と引いてしまいますよね。

でもこれ、

草野さんの「インパクト狙いの技法」じゃないですか?

 

通い婚という形態だった平安時代の貴族は、

夜に女性の元に通って来た男性が

早々に帰ってしまわないよう

男性の履物(靴)を隠していたといいます。

実際は女性の親が履物を抱えて寝ていたそうですが。

 

それと同じで、

君が帰ってしまうのが辛いので

少しでも君を引き留めておくために

スカートを「奪った」のではないかと思います。

スカートを取り上げてしまいたかったんでしょう。

君がずっと僕のそばにいるように。

 

まあ、靴を隠されても裸足で何とか帰れるだろうけど、

さすがにスカートがなくては

外に出られませんものね。

 

スカートをはいた姿で鏡の前に立ち、

「何やってんだオレ」と

自分のやってることに

情けなく虚しい思いで「苦笑い」してます。

君に、「何やってるの?」と呆れられても

まさか

「スカート返さないぞー。もう帰れないだろー」

なんて言えませんからね。

 

鏡の前で君のスカートをはいて

ゆらゆらと踊ってるフリしてるのが、

オーロラのように見えたのでしょうね。

 

自分の行動の無意味さに

「寒い」情けない思いだったのです。

極寒の空に舞うオーロラさながらに、

僕の、プライドさえ捨てた捨て身の行為は、

悲しいかな寒く冷たい笑えない光景となったようです。

実際、慣れないスカートをはいて

足元がスースーして寒かったのかもしれません。

 

 

 

いつでも心は卵だ 割れないように気をつけて

綿毛に守られて 二人は変わらず元気だね

 

スカートを「盗んで」君を引き留めようとしても

「ちょっと! 返してよ!」なんて、

君を怒らせるようなことはしません。

 

「似合ってるんじゃない?」なんて君に言わせて

一緒に笑いころげたのかもしれませんね。

でも僕の心はヒヤヒヤで、

笑顔は引きつってます。

 

二人の心は卵のように繊細なのです。

君は何を考えているのかわからないし、

ふらりと姿を消すかもしれません。

だから僕はいつもヒヤヒヤで、

君がどこかに行ってしまわないように、

とても気をつかっているのです。

 

そうすることで、脆くて危うい二人の関係を

かろうじて守っているのです。

それはまるで、綿毛に守られているように。

そよ風にもふわっと飛んでいくような、

少しも頑丈でなく、何の保証もないものです。

 

いつもギリギリで君を繋ぎとめている・・。

そんな危なっかしい関係が読み取れます。

 

 

(*)くりかえし

 

誰かがベルを鳴らす

そうだよ 解るだろ?

 

もうやめておけ、諦めろ、

自分が辛い思いをするだけだ、

という警告が

僕の脳裏をかすめます。

いつもその思いに苦しんでいます。

 

でも、できないのです。

 

危険な関係

苦しく辛く報われない関係だとは百も承知。

僕には辛いほどわかっているのです。

 

 

骨の髄まで愛してよ 惑星のかけら

骨の髄まで愛してよ 謎のかけら

 

「謎のかけら」は君のことでしょうね。

どこまでも、僕にとって謎の存在。

掴みどころのない存在なのです。

 

(*)くりかえし

 

 

【歌の感想】

 

ずいぶんと辛い恋をしているようですね。

 

おそらく年上の、

おそらく既婚者の、

とても魅力的な女性に首ったけな

若くて気弱い僕、という構図が浮かびます。

 

しかも主導権は君にあるようですね。

 

君にはおそらく

決まった相手がいるのでしょうが、

僕にとってライバルであるその相手に対する

敵対心や嫉妬心は歌からは感じられません。

 

君を奪ってみせるという野心や、

僕よりその人といる方が幸せなのか、という疑心暗鬼。

そいうものが伝わってきません。

 

僕にとってはそんなことはどうでもよくて、

とにかく君と一緒にいたい、

僕のことだけを思っていてほしい、

それだけのようです。

 

若い頃にありがちな向こう見ずで盲目的な恋ですね。

 

 

どうして「惑星のかけら」という題名なんでしょう。

惑星のくずが欠けて離れ離れになった君と僕、

という意味に加えて

誰も気にも留めないちっぽけな塵のような僕=かけら

という意味もあるように思います。

 

 

スローだけどずしっと重い曲調が、

そんな切なく辛い恋に身を焦がす

若い僕の心のもがきを感じさせます。

ギターソロの歪んだ音色にも、やるせない苛立ちを感じます。

 

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。