また君に会いたいとか

日々の備忘録

都に雨の降るごとく

 

 

こんにちは、トパーズです。

いつも読んでくださって、ありがとうございます。

 

 

秋の長雨は好きなのですが、

あまりの豪雨はいただけませんね。

 

 

イメージ

 

 

 

巷に雨の降るごとく

わが心にも涙降る

かくも心ににじみ入る

このかなしみは何やらん?

 

 

堀口大學の、

フランスの詩人ヴェルレーヌの詩の一節です。

 

この詩は梅雨時よりも、

秋の長雨の時期に合うと思っています。

 

高校時代、ヴェルレーヌの詩にはまったのが

秋だったからかもしれません。

 

詩集があった図書室の書棚や

窓から見えるそぼ降る街の景色を

不思議とよく覚えています。

 

 

この詩は、いろいろな人が訳していて、

中でも堀口大學訳が有名かと思うのですが、

私は鈴木信太郎の訳が好きです。

 

雨が降るとつい口ずさむ詩のひとつです。

 

 

 

都に雨の降るごとく

わが心にも涙ふる

心の底ににじみいる

この侘しさは何ならむ

 

大地に屋根に降りしきる

雨のひびきのしめやかさ

うわさびわたる心には

おお 雨の音 雨の歌

 

かなしみうれふるこの心

いはれもなくて涙ふる

うらみの思ひあらばこそ

ゆゑだもあらぬこのなげき

 

恋も憎みもあらずして

いかなるゆゑにわが心

かくも悩むか知らぬこそ

悩みのうちのなやみなれ

         (鈴木信太郎訳)

 

 

しめやかに降る雨と内に抑えた熱情。

辛い恋があったのかな?

そう思っていた高校生の頃。

 

やがて、ヴェルレーヌの波乱の生涯を知り

ちょっと複雑になりました。

だって、読んでいた詩集には

彼の生涯についての細かい記載は

なかったですから。

 

 

ヴェルレーヌは妻子がありながら、

年下の美少年の詩人ランボーに夢中になり

二人でいわゆる逃避行をします。

やがて痴情のもつれで、

ランボーを撃ってしまいます。

 

ランボーは入院、

ヴェルレーヌは投獄され、

そこでしたためた詩のうちの一つが

この詩です。

 

ランボーに捧げた詩のようです。

好きだったんでしょうね。

可愛さ余って・・・という感じでしょうか。

 

 

 

ヴェルレーヌの詩は他に

 

秋の日の ヴィオロンの ~

 

で有名な、

「落葉」(上田敏訳)があります。

これも、秋になるとつい口ずさむ詩のひとつです。

 

 

それにしても、ヴェルレーヌ

素敵な詩をたくさん残してるのに

あまりに思いのまますぎやしませんか?

 

だから胸を打つ詩を残せたのかもしれませんが・・・