また君に会いたいとか

日々の備忘録

【勝手に解釈】「君が思い出になる前に」(スピッツ)

 

 

こんにちは、トパーズです。

 

 

 

「君が思い出になる前に」(作詞・作曲:草野正宗は、

スピッツの4枚目のアルバム

『Chrispy!』(1993年)の

4曲目に収録されています。

 

 

☆好きだからこそ

  一緒にいられない

 

 

 

※あくまで私なりの解釈で、

 これを強要するとか、他の解釈を否定する意図はありません。

 【勝手に解釈】は、私の妄想のページと思ってください。

 

 

 

君から本心を聞き出すのは

君にとって酷なことだった。

 

愛情を要求して、共に歩んでもらうことは

逆に君を傷つけてしまうと悟った。

 

 

 

この歌は、私が初めて聴いたスピッツの歌で、

いろいろ思い入れがあります。

まあ、だいたいどの歌もそうですが。

 

 

イメージ

 

 

青文字は「君が思い出になる前に」

(作詞・作曲:草野正宗)より抜粋

 

 

あの日もここではみ出しそうな

君の笑顔を見た

 

冒頭のいきなりのこのフレーズで、

すっかり心を持っていかれました。

 

 最初ガーンとなったあのメモリー

 今も温められてる (「醒めない」スピッツ

そんな感じ。

 

切ないフレーズです。

この歌で一番の胸キュンポイントです!

いつ何度聴いても胸がキュンとします。

 

他の歌にもいろいろ胸キュンポイントはありますが

あんまりキュンキュンばかり言ってると

循環器科の受診を勧められるといけないので

普段は胸にしまっています(泣)

 

話がそれました。

 

君の、満面の、こぼれんばかりの笑み。

僕もその笑顔に「ガーン」となったんでしょうね。

 

 

後に、いろいろな場面で

このフレーズが頭に浮かんできます。

亡くなった友人。

子供や親との思い出。

 

「ここ」はそんな思い出の場所なのでしょうね。

 

 

水の色も風のにおいも 

変わったね

 

月日が流れたせいもあるでしょうが、

その頃の自分たちの気持ちや状況が

今では変わってしまっていることを

うかがわせる一節です。

 

「変わったというところから

君に暗に同意を求めている、

というか、

「君はどう思ってる?」

と確認したい僕の気持ちが表れていると思います。

 

 

明日の朝僕は船に乗り

離ればなれになる

夢に見た君との旅路はかなわない

 

「明日の朝」「船に乗り」

とは、どういうことでしょう。

 

二人の「旅路」から「降りる」、

一緒に歩むつもりだった人生から

自分はもう全く別の道を行く、

ということかな、と思います。

 

来た道を引き返したり

角で曲がってさよなら、という

またどこかで会えそうな簡単なものではなく、

自分の足で引き返せない(結ばれることはない)

もう二度と会えない(会わない)という意味で。

 

 

「夢に見た」ほどの憧れの「旅路」だったのに

「かなわない」とあるので、

何らかの事情で阻まれたか

もう無理だ、と

僕自身が悟ったか、諦めたか。

 

 

一説には、この「船」は

三途の川を渡る船。

僕は明朝に命を絶つ、

という解釈もあるようです。

 

 

きっと僕ら 導かれるままには

歩き続けられない 二度と これからは

 

確信はないけど、

君との旅路は二人にとって良くない。

 

「二度と」「これからは」

という覚悟を表す言葉が二つも、続けて。

 

だから僕は「船に乗る」

 

「これからは」という言葉のほうには

もうひとつ、

今まで二人で歩んできた日々は「除いて」、

すなわちそれらは

認めたい、大事に胸のうちにしまっておきたい

という気持ちが感じられるのですが。

 

君はどのように思ってたのでしょうか。

 

 

君が思い出になる前に

もう一度笑ってみせて

優しいふりだっていいから

子供の目で僕を困らせて

 

僕はもう

「君が思い出になる」ことを

受け入れようとしている。

 

そして、これまでのアルバムで僕は、

「欲しいのは優しい嘘じゃなくて」

      (「日なたの窓に憧れて」)

と言ってたのに、

「優しいふり」でもいいから、と言っている。

 

きっと、君には

「優しいふり」さえ

難しいことなのだと思います。

 

でも僕は、やっぱり

嘘でも笑ってほしい。

子供のように

ワガママを言ってすねてほしい。

僕の決心が揺らぐくらいに。

 

 

ああ、嘘でもいいから

微笑むふりをして

  (「秋の気配」オフコース

という切ないCメロがありますが・・・

同じ心境なのでしょうか?

 

 

 

 

これまでのスピッツの歌で

はっきり「別れ」を歌ってるのは

魔女旅に出る」(「名前をつけてやる」)

 

僕は本当は君と別れたくなくて

猫の顔で心の中で泣いてた。

「いつでもここにいるからね」と

暗に「待っている」と訴えていました。

 

lovetopaz.hatenablog.com

 

 

今回は僕自身が

相当な決意をしているのではないかと思います。

 

 

ふれあう度に嘘も言えず

けんかばかりしてた

かたまりになって坂道をころげてく

 

僕が本音で向き合ってきたのが

逆に君を苦しめることになったのか。

 

君はなかなか本心を見せず

僕が振り回されていた、

という歌が今まで多かったと思っています。

 

今回はどうなんでしょう?

 

「かたまりになって」というのは

二人諸共に、ということでしょう。

 

「坂道をころがる」のような表現は

草野さんの歌詞によく出てきますね。

 

昔何かの小説で読んだ

坂をころがるように「破滅へと向かう」

というフレーズを思い出します。

 

 

追い求めた影も光も消え去り今はただ

君の耳と鼻の形が愛しい

 

「影」というのは「光」の反対で

「光」が「夢」や「二人の幸せな未来」なら、

「影」は「夢に対する犠牲」とかでしょうか。

すべて消え去ったんですね。

 

僕は「追い求めた」のに。

 

なぜ「消え去」ったのでしょうか。

僕が「諦め」の気持ちを抱いてから

今の状態に至るまで

ずいぶん日が経って、

その間にかなり葛藤があって

徐々に徐々に薄れていって

消え去ってしまったと思われます。

 

君のほうはとうに

気持ちが去ってしまっていた

(あるいは、そこまでの気がなかった?)

ように思われます。

 

 

夢見たものは何も残ってなくて

残ってるのは目の前の君の耳と鼻?

 

愛しいと言ってる「君の耳と鼻の形」は、

「冷たい風に吹かれ」

君の耳と鼻しか

今は見えてないんじゃないですか。

 

たぶん、君はうつむいたまま。

それとも横を向いているか。

もう長いこと君の笑顔を見てないんでしょう。

 

顔には他に目や口があるけど

耳や鼻は表情がわかりにくい。

 

目や口元だって愛しいはずなのに。

もう目や口元は思い出さないように

記憶の奥に封じ込めようとしてるのでしょうか?

表情が見えにくい耳や鼻だけでも

愛しいと思えるようにしたいのでしょうか。

 

いや、僕は最後のチャンスに賭けます。

 

 

忘れないで二人重ねた日々は

この世に生きた意味を越えていたことを

 

喧嘩もして仲直りもして

二人で夢を追い求めた日々を

「忘れないで」って言ってる。

 

それはとても尊い貴重な日々だったと。

 

これは君への言葉と同時に

自分に言い聞かせてる言葉でもあるのでは。

君のいないこれからを生きていくために。

 

 

君が思い出になる前に

もう一度笑ってみせて

冷たい風に吹かれながら

虹のように今日は逃げないで

 

この歌で気になったのは

歌の最後に出てくる

「今日は逃げないで」というところ。

 

虹って、見つけた時の感動もつかの間、

あっという間に消えてしまうし、

近づきすぎたら、

逆に、見えなくなってしまいますよね。

 

君はいつも虹のように

気が付くといなくなってたのでは。

僕からの愛情を

するりとかわしていた?

答えを出すのをずっと避けていた?

僕が追いかけると逃げていた?

 

ここで初めて

そんな二人の関係性が見えてきます。

 

今日は逃げないで

ちゃんと気持ちを聞かせてほしい。

僕の気持ちを聞いてほしい。

 

でもそんなことは

到底無理な要求だとわかってる。

 

せめて、あの日のような

「はみだしそうな笑顔」を見せてほしい。

たとえ「ふり」でもいいから。

 

横を向いてる君、

あるいはもう表情のない君に

笑ってみせてって請う勇気、辛さ。

 

辛いけどこれが最後のチャンス。

 

でも、

僕に微笑んでくれることは

もうないと、

心のどこかで悟っていると思います。

 

 

 

【歌の感想】

 

私がスピッツを知るきっかけとなった歌です。

どこかで流れていて

「君が思い出になる前に」というフレーズが

気になったのです。

 

昔から吉田拓郎「春だったね」という歌が好きで、

その中に

 

僕が思い出になる頃に

君を思い出にできない

(作詞:田口淑子 作曲:吉田拓郎

というフレーズがあります。

(いちいち出典が古い)

 

レコードショップで探してみたら

吉田拓郎とはまるで雰囲気の違う

若い4人組バンドでした。

そしてアルバム「Crispy!」を借りました。

私が初めて聴いたスピッツのアルバムは

「Crispy!」だったのです。

 

 

この「君が思い出になる前に」を

初めて聴いた頃は

別れを切り出した僕が

君に気を遣ってか、

「笑ってみせて」とか

「忘れないで」とか

君を思い遣るような形に

置き換えるようにしてる

ちょっとずるい歌かなと思いました。

 

でも、スピッツの歌をたくさん聴いていくうちに

実はそうじゃないんでは、と

思うようになりました。

 

特に「今日は逃げないで」というフレーズもあって。

 

結局僕は「君をつかまえておく」ことができなかった。

本当は「思い出にしたくない」んじゃないかと。

 

君の本心を得ようと追いかけ続け、

気まずくなった。

 

君にはそこまでの気がなかったのでしょうか?

それとも、

気持ちがはっきりしないから

僕が諦めたのでしょうか?

 

ただ一途で追いかけるだけの恋は

時に相手を傷つけてしまう。

 

 

優しくゆったりとしたメロディーだけど

冷たく寒く、辛い別れの歌ですね。

 

 

後の、「冷たい頬」(「フェイクファー」)は、

この時の、表現を変えた歌ではないかと思っています。