また君に会いたいとか

日々の備忘録

【勝手に解釈】:「魔女旅に出る」(スピッツ)

 

 

こんにちは、トパーズです。

 

いつも読んでくださって、ありがとうございます。

 

 

 

魔女旅に出る(作詞・作曲:草野正宗は、

スピッツの2作目のアルバム『名前をつけてやる』(1991年)の

11曲目に収録されています。

 

 

僕はずっと君を待ってる

 

 

※あくまで私なりの解釈で、

 これを強要するとか、他の解釈を否定する意図はありません。

 【勝手に解釈】は、私の妄想のページと思ってください。

 

 

 

自分の元を離れていく「君」へ、

今は辛くてもきっと報われるときが来ると

「君」の背中を押してエールを送っている、

という解釈もできますが、

どうもそうは思えない私の勝手な解釈を

どうか読んでください。

 

 

気まぐれで思わせぶりな「君」。

「僕」はそんな「君」の心をコントロールできない。

「君」の言うとおり・するとおりにただ従うだけなのだ。

「僕」にとって「君」は、ひれ伏すだけの、

言わば「魔女」のような存在なのです。

 

「僕」の願いもむなしく、

「君」は「僕」から離れていくようです。

魔女の旅立ちは、僕には辛い別れなのです。

 

本当は君に行ってほしくなくて、さびしくて、

しがみついて大泣きしたいところなんでしょう。

でも精一杯の強がりで、君の意思を尊重するしかない。

 

 

 

イメージ画像

歌からイメージする画像を選んでみました。

 

 

 

歌詞を少しずつ見ていきます。

 

 

ほら苺の味に似てるよ

もう迷うこともない

僕はひとりいのりながら

旅立つ君を見てるよ

 

苦味を感じずに使用できるように

甘い「苺の味」を付けた

小さな子供向けの薬や歯磨き粉。

甘い苺味だから大丈夫、苦くないよ。

 

それと同じように、この別れは「どうってことない痛み」。

今までにも君がふいっと去っていくことがあったんでしょう。

そのたびに悲嘆にくれてたから、もう慣れてる。

 

だから何ともないよ、今度も平気だよ

と自分に言い聞かせています。

去っていく君を止める術は僕にはないのだから。

 

しかも、「別れ」ではなく「旅立ち」だと言っています。

 

手を離したならすぐ

猫の顔でうたってやる

 

犬と比べて感情を出さない猫。

 

辛さを表に出さないように泣くには

平気なフリした猫の顔になるしかないのです。

 

猫の顔で泣いたら、君は微笑んでくれるだろう。

本当は大泣きしたいくらい辛い・・・

 

猫のすました可愛い顔で

辛い気持ちを歌わせる・・・

草野さんの歌詞の超絶巧妙なところだと思います。

 

ララルララルララ泣かないで

ララルララルララ行かなくちゃ

いつでもここにいるからね  (*)

 

「泣かないで」

これは悲しむ自分に向けた言葉。

 

「行かなくちゃ」

これも自分に向けた言葉。

君の意思を尊重しなくちゃ、と。

断腸の思い言葉のようです。

 

でも、僕はもう泣かない、泣いちゃいけない、

君を見送らなくちゃ。

 

どうしたって、君は行くのだから。

君が決めたことだから、行っていいよ。

 

でも僕はずっと待ってるからね。

 

今 ガラスの星が消えても

空高く書いた文字

いつか君を照らすだろう

 

なぜ君へのエールを歌ったものではないと思ったのか、

なぜ自分自身に「泣かないで」と言い聞かせているのか、

2番のこの部分に理由があります。

 

君の旅立ちなのに、なぜ「星が消える」のか?

祝福してないような表現なのが気になりました。

 

ひとつには、

夜があけて空が白んできて星が見えなくなったのでしょう。

夜明けを待って君は出て行くんですね。

 

もうひとつには、これは、

僕にとっての星が消えているのです。

君との辛い別れで、今、僕の夜空は真っ暗なのです。

しかも、すぐ壊れそうな「ガラス」の星。

君という光をなくしたらもう光らない。

 

でも思い描いた君との未来図(「空高く書いた文字」)は、

いつか叶うときが来るだろうと言い聞かせています。

 

「君を照らすだろう」は、

自分に言ってる言葉なのだと思います。

 

2番のこの部分は、ユニゾンになっていて

CDではすべてのパートは草野さん、

ライブでは三輪さんが歌っています。

 

1番の歌詞ではまだ気持ちに迷いがあったけど

2番の歌詞で、自分を納得させ前を向こうとしている様が

ニゾンの重厚さで伝わってくるようです。

歌に広がりが生まれ力強く、とてもきれいで好きな個所です。

 

また、ガラスを思わせるようなチャイム音が

一瞬歌の背後に流れるところも

星がちらっと現れてちょっと瞬いて消えるような、

未来にある希望を暗示しているようできれいです。

 

歪んだ鏡の向こうに

忘れてた道がある

さあ まだらの靴を捨てて

 

「歪んだ鏡」は、涙でゆがんで見える鏡。

ひとしきり泣いて涙が枯れたら

きっと好転する術が見つかるだろう。

 

「○○の向こうに○○がある」というのは、

草野さんの歌詞によく出てきます。

 

「まだらの靴」は、傷ついた心や流した涙、

辛い思いをしてきた過去・思い出。

 

そんなまだらの思いは捨て去り、

涙をふいて、前を向いたら

願いが叶うきっかけが見つかるかもしれない。

 

必死で自分に言い聞かせています。

 

(*)くりかえし

 

2番の(*)の最後に

カラカラ?という音が入っています。

 

出かける人の無事を祈って打つ

おまじないの火打ち石を表しているのでしょう。

 

カラカラという乾いた音に、

別れの諦観と未練が感じられます。

 

去っていく君を止められない、

でもきっと戻ってきて、と。

 

「いつでもここにいるからね」

そう連呼しているところに

強気の中にある弱さ・本音が垣間見えます。

 

 

 

【歌の感想】

 

オーケストラの重厚な響きが、

壮大な前途を思わせる、

旅立ちにも、アルバムの最後を飾る曲としても

ピッタリだと思います。

 

君の旅立ちは、

僕にとっては寂しさを耐え忍ぶ試練の始まり。

 

辛さに大泣きしたいでしょうが、ぐっとこらえてる

弱気で無器用な僕。

 

離れていく君に、決して泣き言や恨み言は言わず、

君のことを決して悪いように言わない僕は

それだけでも強く優しい人なのでしょうね。

 

「魔女」として畏敬の念をもっているのでしょう。

 

君が僕から離れていく歌は、他にもいろいろあります。

夏の魔物にお願いしたけどだめだった、

アルバム(スピッツでの夏の魔物

 

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泣かないで見送ることができた今度は、

少し大人になったでしょうか。