また君に会いたいとか

日々の備忘録

【勝手に解釈】:「トンビ飛べなかった」(スピッツ)

 

 

「トンビ飛べなかった」(作詞・作曲:草野正宗)は、

スピッツのデビューアルバム『スピッツ』(1991年)の9曲目に収録されています。

 

☆ダメだったけど、まあいいさ

 

※あくまで私なりの解釈で、

 これを強要するとか、他の解釈を否定する意図はありません。

 【勝手に解釈】は、私の妄想のページと思ってください。

 

 

夢が叶いそうな寸前で破れてしまった。

思わせぶりな「君」にさんざん期待させられ、

するりとかわされてしまったのでしょうか。

精一杯強がっている僕。

本当は辛くて悔しくて情けないのに。

 

自虐的に自分を「トンビ」「コオロギ」に置き換え、

惨めさと意志の強さを表現しています。

 

「君」は、「描いてる夢」と解釈することもできます。

内定とか面接とかオーディションとか。

スピッツのようなバンドマンだと、デビューとか。

 

憧れに届かなかった悔しさと強がりの歌だと思います。

 

 

 

 

歌詞を少しずつ見ていきます。

 

 

独りぼっちになった 寂しい夜 大安売り

ちょっとたたいて なおった

でもすぐに壊れた僕の送信機

枕の下に隠れてる君を探してた

大いに期待できると思っていたけど、

結局望みは叶わなかったんですね。

でもそれは「大安売り」だと弁明しています。

「大安売り」は落語にあるような意味で、

「快く言う通りにしてあげたんだよ」とばかりに

強がっているのだと思います。

 

見栄を張って強がってみたものの

やっぱりすぐ落ち込んでしまう。

心の底では「君」を諦めたわけではなさそうです。

 

トンビ飛べなかった 今日も会えなかった

のんきに背伸び ふやけた別れのうた

空高く舞うワシやタカと違い、

割と身近で普通に飛んでるイメージの「トンビ」

自分と重ねてるのでしょうか。

高貴で勇ましいイメージの鳥ではなく

時に邪魔者扱いされるようなトンビ。

草野さんらしいと思いました。

 

「君」に手が届くと思ってたけど

待ちぼうけをくった。

結局来なかった、フラれてしまった。

「今日も」とあるので、ずっと待ってたのでしょう。

それとも、今日もダメだった、のかもしれません。

 

「のんきに背伸び」して、君を信じて

気長に首を長くして待ってたのでしょう。

心は涙でふやけてしまったようです。

 

つぶされかかってわかった 優しい声もアザだらけ

やっと世界が喋った 

そんな気がしたけどまた同じ景色

正義のしるし踏んづける もういらないや

綺麗ごとのように思えるようなものにも

本音・本心が垣間見えた。

いわゆる「優しい嘘」に気づいたのでしょう。

でも、状況は何ら変わらないみたい。

 

「何かが解っても何も変らない」という

タンポポスピッツ)の歌詞に似ています。

【勝手に解釈】:「タンポポ」(スピッツ) - また君に会いたいとか

 

「正義のしるし」は信じ続けることでしょうか。

きっと本心は違うはず、と信じていても

期待外れで終わるのなら最初から期待しない、と。

 

トンビ飛べなかった ペンは捨てなかった

怠惰な命 紙くずの部屋にいた

情けないけど、志は捨ててないつもり。

「ペン」は、夢や希望を描き続けることだと思います。

強がってふて腐れてるけど

それでも誇りや意志は持ち続けてるから

胸の中は夢や希望・未来図であふれている。

まだ諦めたわけじゃない。

「紙くず」は無駄に見えても描き続けた大事な夢。

 

コオロギ鳴いてる 靴の中

宇宙のスイカが割れるまで待ってた

トンビに続いて「コオロギ」登場!

 

お腹がすいているのか。

「宇宙のスイカが割れるまでエサを待っている。

 

これは、自分をコオロギに例えていると思います。

狭く孤独な世界(靴の中)で吠えてる(鳴いてる)けど、

望む状況(イカ)が来るまで待ってるだけ。

そのスイカはとんでもなく大きくて素晴らしいもの。

きっと夢は叶う、もっといいことが起きる。

妥協はしたくないんです。

 

ここの部分(Cメロ)は、スローなテンポで、儚い声。

強がりながら希望を歌っています。

 

それにしてもコオロギの役割、素敵ですね。

トンビが出てくるのも素敵ですが。

「ただの生き物」的な生物への愛情を感じます。

 

独りぼっちになった 寂しい夜 大安売り

三塁ベースを踏んで

そこから先は何も思い出せずに

どうぞ僕を飲みこんでよ 大きな口で

(君の)好きなようにさせてあげただけさ。

そう強がってはみても、

ショックで情けなくて何も覚えてない。

うまくいくと思ってたのに

自分だけ舞い上がってた。

どうぞ笑ってくれよ。

 

 

 

 

 

【歌の感想】

三塁までまわってホームを踏めなかったのは

さぞ残念で悔しいでしょう。

ホームインできる!と思ったでしょう。

 

そうか、「気前よくフラれてあげた」ということですか。

精一杯強がってるけど、

「君」にはかなわない、という感じです。

 

この歌と同じアルバム「スピッツ」の『海とピンク』でも

同じような無念さを歌っています。

【勝手に解釈】:「海とピンク」(スピッツ) - また君に会いたいとか

 

終始噛みつくような歌い方、演奏ですが、

全体を通して、強がり、やけっぱち、

なかなか思うようにならない焦り・苛立ちを感じます。

また、それでも諦めない執念やポジティブさもうかがえます。