また君に会いたいとか

日々の備忘録

【勝手に解釈】:「名前をつけてやる」(スピッツ)

 

 

こんにちは。

備忘録UP中のトパーズです。

 

 

「名前をつけてやる」(作詞・作曲:草野正宗は、

スピッツの2枚目のアルバム『名前をつけてやる』(1991年)の

3曲目に収録されています。

 

 

☆自分を褒めてやる!

 

 

※あくまで私なりの解釈で、

 これを強要するとか、他の解釈を否定する意図はありません。

【勝手に解釈】は、私の妄想のページと思ってください。

 

 

 

思いは遂げられなかった。

その悔しさ情けなさ、

治まりきらない野望や情熱を

何にぶつけたらいいのか・・・。

 

空振りに終わってしまったけれど

そんな自分のことも称えたい。

 

情けなくも誇らしく、

ずっと胸に秘めていたい思い出。

そんなやり場のない気持ちを切々と歌っています。

 

 

 

歌詞を少しずつ見ていきます。

 

 

名もない小さな街の 名もないぬかるんだ通りで

似た者同士が出会い くだらない駄ジャレを吐き笑った

ぼやけた雲の切れ間に なぜなのか安らぎ覚えて

まぬけなあくびの次に 目が覚めたら寒かった

 

「名もない」「小さな」「ぬかるんだ」「くだらない」という

「劣」や「負」等を連想させる「マイナー感」のあるワードは

草野さんの歌詞によく出てきます。

 

意地っ張りで素直じゃなく、強がりで無器用で天邪鬼。

よって周りから理解されにくく、しかも

たやすく周りと迎合しないから、いつも「存在感薄い」。

でも本当は純粋で素直で真面目で人一倍気を遣い、

周りを冷静によく見ている。

草野さんの歌詞に出てくる「僕」は、そんなイメージです。

 

考え方や今までの生き方が自分と似てる人に出会うのは

そうそうないことでしょうから、

特別な思いがあったと思います。

 

その相手は同性か異性かわかりませんが、

おそらく年齢が近く、意気投合し

「似た者同士」で一緒にいて居心地が良かったのでしょう。

「くだらない駄じゃれを吐き笑った」と表現しています。

 

人生の一時期、きっと期待や不安が入り混じる若い時期に

心許せる人に出会ったつもりでいたけど、

気が付いたら「取り残されていた」ようです。

 

「ぼやけた雲の切れ間」に隠れ見える青空に、

「晴れ(成功・嬉しい未来)が隠れている」

と予感して安心しきっていたのでしょうか。

 

自分と同じ気持ちでいると勝手に思っていたのかもしれません。

残念な結果が想像できます。

 

名前をつけてやる 残りの夜が来て

むき出しのでっぱり ごまかせない夜が来て

名前をつけてやる 本気で考えちゃった

誰よりも立派で 誰よりもバカみたいな 

 

残念な結果だったのでしょう。

草野さんも、むきになってるような歌い方です。

八つ当たり的に、何かに責任転嫁しようとしてるみたいです。

憤りとともに、虚しさ・恥ずかしさも感じます。

 

「残りの夜が来て」は、おもしろい表現だと思います。

孤独で寂しく虚しく情けない

ひとりぼっちの夜を過ごさないと

いけなくなってしまったんですね。

 

これはいわゆる「夜」だけでなく、

「似た者同士」の君に出会う以前の

孤独で誰とも分かり合えないと思っていた日々、

という意味もあるのではないでしょうか。

そんな日々に逆戻りということでしょうか。

 

また、情熱や野望・興奮を自分で持て余しています。

「むきだし」「でっぱり」というキャッチーな言葉が

聴く人にインパクトを与えるとともに、

その熱量や状態を感じさせてくれます。

それはまた、諦めきれない無念さと同時に、

達成感や誇る気持ちをも意味するのではないでしょうか。

 

何らかのチャレンジは失敗に終わったけど、

自分では「まんざらでもない」と思っているようです。

名前をつけておきたい=「勲章」「偉業」「思い出」

そんな清々しく誇らしげな気持ちもうかがえます。

「立派」「バカみたいな」といっているように、

照れながらも誇らしそうです。

 

格好悪く思い出したくもない、

なかったことにしたいことなら、

名前をつけようなんて思わないですよね。

 

マンモス広場で8時 わざとらしく声をひそめて

ふくらんだシャツのボタンを ひきちぎるスキなど探しながら

回転木馬回らず 駅前のくす玉も割れず

無言の合図の上で 最後の日が今日だった

 

1番の歌詞が「総論」だとしたら、

この2番の歌詞は「各論」のような気がします。

 

さて、何が「空振り」に終わってしまったのでしょうか。

 

ひとつには、歌詞の言葉通り解釈して、

意中の女の子を落とせなかった。

 

これは、

「ふくらんだシャツのボタン」

「ひきちぎる」

という、読んで字のごとくで、

女の子を口説くスキをさぐりつつ

結局スルリとかわされてしまったという展開。

 

女の子の本心を知りたいという熱い思いが、

「ひきちぎる」という言葉になったのでしょう。

 

 

もうひとつの解釈として、

「僕」が何らかの自己表現を試みたが

うまくいかなかった。

 

「ふくらんだシャツのボタン」

これは「夢や野望で一杯の僕の胸」。

思いのたけをぶつける、叫ぶということを

「ひきちぎる」

という言葉で表現したのではないか。

 

女の子を前に、

何とか自分の気持ちを伝えたい、

でも嫌われたくない、

だから「わざとらしく声をひそめて」

どうってことないような素振りで。

 

また或いは、

同じ夢を見ていると思っていた同性に

自分の希望を訴えたけど

相手の見ていた夢は少し違っていた。

もしくは、思いを全部伝えることができなかった。

 

いずれにせよ、

「ふくらんだシャツのボタン」はひきちぎれなかったのです。

女の子の本心はわからなかったし、

自分の気持ちを伝えきれなかった。

 

 

「ふくらんだシャツのボタン」

が誰のものなのかで解釈が変わってきますね。

 

 

「マンモス広場」は、

周りが見えないくらい自分に集中してる状態、

或いは

広い世界に二人だけのように思える状態だったのでしょう。

 

回転木馬回らず」「駅前のくす玉も割れず」

この「未完」をイメージする言葉の羅列は

何ともおもしろいと思います。

思い通りに事が運ばず(「回転木馬回らず」)、

結果として

ハッピーエンドにはならなかった(「くす玉も割れず」)。

これほど遠回しな表現は初めてかも。

 

与えられたチャンスは終わり、

再び孤独で暗い日々に逆戻り・・。

 

でも、落ち込むことなく、

むしろ「偉業」として称えているかのようです。

照れ隠しと共に

まんざらでもないというほくそ笑みや

鼻息すら聞こえてきそうです。

 

この「未完」を忘れない。

そしていつか必ず「完遂」したい。

この時の「出来事」のみならず、

「似た者同士」の相手こそ、

名前をつけてまで胸に秘めておきたい

大事な人ではなかったのか、と思います。

 

 

 

 

 

 

【歌の感想】

この歌を聴きはじめた当初はずっと、

路上ライブで失敗した歌なのかなと思っていました。

 

「(女の子の)シャツのボタンをひきちぎる」という乱暴さが

草野さん、ひいてはスピッツから全く想像できなかったのです。

 

そのうち、

あえてキャッチーな言葉を用いることで、

自分の無器用さをごまかしているのかな、

と思うようになりました。

 

なかなか思うようにはいかないものなのだ。

思い切ってチャレンジした、でもうまくいかなかった、

その勇気を自分で称えたい、という

自画自賛の歌ではないか?とも。

 

 

歌が終わったあとに続く「ららら~」の部分。

Cメロ?アウトロ?

この部分が好きです。

 

無念さややけっぱちな感じを切々と歌ったあと、

そのバカバカしさをごまかすような、

むきになった自分への照れ隠しのような、

いろんな気持ちをごちゃ混ぜにしたような

草野さんの綺麗なファルセット。

有り余る熱量を吐き出しながら

歌の余韻を一段と幻想的にしています。

 

 

有名な「レイラ」(エリック・クラプトンでも

後半のインストのバラード部分が同じような感じで好きです。

 

  「レイラ」は、クラプトンの親友ジョージ・ハリスンの妻

  パティ・ボイドに捧げた歌だと言われています。

  インドの精神世界へと傾倒していく夫を心配して

  パティは夫の親友であるクラプトンに

  何かと相談していたようです。

  相談にのっているうちにクラプトンが、

  だんだんパティに惹かれていったようです。

                     (諸説あり)

 

「レイラ」では、

前半の歌部分でさんざん思いのたけをぶつけ、

歌が終わると我に返ったのか、

前半で不甲斐なく叫んでしまった照れ隠しや

それでもまだぶつけ足りない気持ちや熱量も

全てごちゃ混ぜにしたようなきれいなバラードで、

ピアノ・ギターの音色が一段と切なさを増しています。

 

昔、きれいなそのバラードをピアノで弾きたいと

楽譜を探したけれどなかったので、

自分で音を拾って弾いてみました。

夫にそのピアノバラードを弾いて聴いてもらったら、

夫はそのインスト部分は「知らない」と言うのです。

歌が終わったら早送りしていたようです。

せっかくのきれいなインスト部分を飛ばすなんて、

なんて勿体ないんだろうと思っていました。