また君に会いたいとか

日々の備忘録

【勝手に解釈】:「ウサギのバイク」(スピッツ)

 

 

「ウサギのバイク」(作詞・作曲:草野正宗は、

スピッツのアルバム『名前をつけてやる』(1991年)の

1曲目に収録されています。

 

 

☆君を連れてく、どこまでも

 

 

※あくまで私なりの解釈で、

 これを強要するとか、他の解釈を否定する意図はありません。

【勝手に解釈】は、私の妄想のページと思ってください。

 

 

私の中で勝手に

【乗り物に乗って出かけるシリーズ】

とカテゴライズしている歌です。

といっても、実際に出かけているわけではなく、

自分が置かれている状況を

比喩的に表現しているのだと思います。

 

 

これまでの歌の中では、

「死神の岬へ」(アルバム「スピッツ」)での

「古くてタイヤもすりへった小さな車」

同じく夏の魔物」(アルバム「スピッツ」)での

「二人乗りで 折れそうな手でヨロヨロして」

(たぶん自転車。出かけてるわけではないけど)

などがあると思います。

 

ウサギのバイクは僕自身。

妄想の世界で「君」(あの娘)との逃避行を夢見ている。

二人はなにか難しい関係のようです。

あとさき考えずに、いや、何も考えたくない。

「ただただ君と一緒にいたい」という強い願望のもと、

喜びに溢れた楽しい逃避行を想像しています。

 

 

歌詞を少しずつ見ていきます。

 

 

ウサギのバイクで逃げ出そう

枯葉を舞い上げて

優しいあの娘も連れて行こう

氷の丘を越えて

ギターアルペジオの軽やかなイントロ。

1番の歌詞は、「ラ~ララ~」「トゥトゥトゥ~」だけ。

そう、スキャットが続きます。

そして2番から歌詞が始まります。

 

スキャットといえば、

「夜明けのスキャット」(由紀さおり 1969年)。

はじめてスキャットというものを意識して聴いた歌です。

歌詞の意味など全く理解していませんでしたが、

子供心に、なんと魅惑的で甘美なんだろうと、

その夢見るような世界に酔いしれたものです。

 

その記憶、経験から、

この「ウサギのバイク」の歌は、

夢見心地でまどろんでいる状態での

僕の願望、妄想ではないかと思います。

 

「逃げ出そう」とあるように、

自分たちが置かれている状況からの逃避でしょうか。

二人の関係は世間からの風当たりが強いのでしょう。

「枯葉を舞い上げて」に、勢いのある意志を感じます。

無味乾燥に思われる世界から一刻も早く逃げ出したいのです。

どこに?

それは、誰にも邪魔されない二人だけの世界へ。

「優しいあの娘」といられる世界へ。

(↑ あの娘は、優しいんですね)

「氷の丘」は、自分たちを取り巻く世界。

理解を得られにくい冷たい世界だと感じているのでしょう。

 

何かに乗って出かける、或いは逃げ出すという歌は

前述のとおり

「死神の岬へ」夏の魔物にも見られました。

ただ、それらで歌われた

小さいオンボロ車や

か細い体で君を乗せて必死でこぐ自転車(たぶん)は

強がってるけど不安や負い目を感じている状況。

今回は、僕をウサギに例え、ウサギをバイクに例えています。

 

ウサギは小動物だけに小回りがきいて、

ピョンピョン跳ねながら要領よく逃げられるイメージです。

 

ただ、如何せん、ウサギですから。

バイクといってもウサギですから(← 何度も言う)。

 

動物の中でも、チーターや象とかではなくウサギというのは、

自分が非力で弱いというような

何か劣等感のようなものを感じます。

 

ただ、大物の動物に比べて瞬発力や俊敏性があるあたり、

小動物ウサギとしてのプライドも感じます。

どんな困難な道や崖でも駆け登れるんだぞ、という。

 

いずれにしても、

車や自転車ではなく、自分の力で逃げ出そうという、

少し強気な意志を感じます。

たとえそれが妄想だとしても。

少し自信が出てきているのでしょうか。

 

「死神の岬」(アルバム「スピッツ」)で、

死神が遊んでいて

本来の「仕事」をしていない(空想の)「岬」で、

君との展望を掴んだからでしょうか。

 

そう考えると、

「ウサギのバイク」というのも

自分の状況かもしれませんね。

 

脈拍のおかしなリズム

喜びにあふれながら ほら

駆け抜けて 今にも壊れそうな

ウサギのバイク (*)

期待と不安でドキドキしています。

逃げ出すスリルや恐怖はあるけど

あの娘を連れて行くというワクワク感で

もはやそれは喜びでしかないのです。

 

「今にも壊れそう」なのは、

嬉しさだけから走り続けて

はしゃぎすぎたのでしょうか?

 

ただ、二人の行く末を暗示しているかのようでもあります。

 

でもそんなことはどうでもよくて

とにかく今は君と一緒にいたいという気持ちで一杯なのです。

 

(*)くりかえし

 

 

【歌の感想】

軽やかで流れるようなリズムとメロディーに

夢や期待が感じられます。

一抹の不安を感じながらも

楽しい逃避行を夢見ているのです。

 

自分たちの状況がどうだとか、

周りの目がどうだとか、

そんなことは忘れてしまいたい。

君と一緒にいられるなら、

他に何もいらない。

一緒の時間に全てを賭ける!

そんな刹那も感じられます。