また君に会いたいとか

日々の備忘録

【勝手に解釈】「君だけを」(スピッツ)

 

 

こんにちは、トパーズです。

 

 

 

「君だけを」(作詞・作曲:草野正宗は、

スピッツの4枚目のアルバム

『Chrispy!』(1993年)の

7曲目に収録されています。

 

 

☆いつか叶うと信じている

 

 

 

※あくまで私なりの解釈で、

 これを強要するとか、他の解釈を否定する意図はありません。

 【勝手に解釈】は、私の妄想のページと思ってください。

 

 

イメージ

 

 

憧れていた夢や希望、

思い描いていたものは遠く消え去った

 

この世界で生きて行くということは

多くの犠牲や諦め

媚やへつらいを伴うこと

 

そして偽りの自分を演じていくことだ

 

それでも

落としていった夢や自分のかけらを

拾い集めていくことは忘れない

 

 

 

 

青文字は、

「君だけを」(作詞・作曲:草野正宗)より抜粋

 

 

街は夜に包まれ 行きかう人魂の中

大人になった哀しみを見失いそうで怖い

砕かれていく僕らは

僕にとって、街はいつも夜のように暗く

明るい部分がなさそうなのは

僕が心を許せる場所がないのでしょう。

 

「行きかう人魂」との表現から

皆、魂が抜けてるように見える。

皆、建て前の世界で

上辺だけ繕って生きていることを

僕はわかってしまったので、

「本物の人間」じゃないように見えるのでは。

自分はそうはならないと思いながら。

 

「大人になった哀しみ」という表現が

言い得て妙です。

同感です、草野さん。

 

「悲しみ」ではなく「哀しみ」

 

抜け殻のような街に

いろんなことを諦めて

抜け殻のようになった偽の自分も

同じように生きている。

 

妥協もし、迎合もし、

この世界で受け入れられるように

かなりたくさんのことを削り落として

(砕かれていって)

哀しいけどギリギリの状態で

毎日を生きている。

 

でも、抜け殻のような世界で

滞りなく生きることに慣れてくると

そんな自分の「哀しみ」を

忘れてしまいそうになって

「悲しく」なってくるのです。

どれだけ哀しい思いをしてきたか。

 

砕かれていって、

だんだん元の自分が

わからなくなってくる恐怖と戦っているのに。

 

 

星の名前も知らず 灯りともすこともなく

白い音にうずもれ カビ臭い毛布を抱き

思いをはせる 夜空に

夜空に思いをはせているのに

「星の名前も知らず」とは?

 

自分が探し求めてる星が

まだ見つからないんじゃないですか。

その「星」は、自分の夢や希望かもしれないし

意図せず別れることになった「君」なのかも。

 

「灯りともすこともなく」は、

そこに終の人生を見ることはせず。

 

「白い音」は、自分に残っている

わずかな希望、或いは「君の声」?

 

「カビ臭い毛布」は、本当にカビ臭いわけではなく

ずっと肌身離さず身に付けてるかのように

ずっと胸に抱き続けている

諦めたり捨ててしまった夢や希望ではないか?

くだらないと思われようが。

 

そして、思いをはせる「夜空」

ひっそりと息をひそめるように

自分を維持しながら生きているのだと思います。

 

 

今までのアルバムの歌からすると

僕はずっと夜空の星に

希望を託してきてたように思うのです。

 

また、離れ離れになった「君」との

共通の希望が夜空の星にあるように思います。

 

 

君だけを必ず 

君だけを描いてる ずっと(*)

「君」は、諦めた夢でもあるし

忘れられない「君」でもあって、

草野さんがあえて

「誰」でも「何」でも、当てはまるように

作っているのかな、と思います。

 

どんな時も決して忘れることなく

「君」を夜空に思い続けている。

 

「描いてる」は、「君」と一緒の未来図を描く

という意味もあるのかな、と思います。

 

 

一人いつもの道を歩く 目を閉じて一人

無器用な手で組み立てる 汚れたままのかけらで

いつか出会える時まで

目を閉じて、砕かれてきた自分の夢や希望、

あるいは自分の分身(諦めた心のような)を

いつも諦めることなく

探している

或いは心で確認しているのだと思います。

 

それらは、未熟でつまらないものかもしれないけど

手探りでも、そのまま大事に拾い集めて

元の輝く夢あるいは自分になるよう

手元に置いていくのです。

 

いつか本当に手に入れるまで。

思い描きながら

(大人になった哀しみを忘れないよう)。

 

(*)くりかえし

 

 

【歌の感想】

 

難しく奥深い歌詞だと思いました。

どのようにも解釈できるし。

確固たる主張はあるのだと思うけど

慎重に、言葉を一つひとつ選んでいる気がします。

 

私は当初、

スピッツのことか、あるいは草野さん自身の

それまでの苦悩や心境なのではないかと思いました。

 

ずっとスピッツを聴いてきた今では、

「君が思い出になる前に」の「君」や

それまでのアルバムで「離れてしまった」

「君」のことかもしれないと思ったりもします。

 

人によっていろいろに解釈できる歌ですね。

 

 

初めて聴いたスピッツ

「なかなか手強いな」と思いました。

 

 

草野さんの若い伸びのあるボーカルを生かした

また、それを堪能できる美しいメロディで、

当初からすごく好きな歌です。

 

そして、不思議なことに

伴奏や間奏、アウトロに至るまで

アレンジ自体が

なぜか昭和歌謡のようにも聴こえます。

 

ジャーンで始まる重いイントロに対し、

ストリングスの効いたアウトロの

軽くて切ない演歌っぽいメロディ。

 

ロックテイストが強すぎないように

あえてそうしたのでしょうか。

そのギャップもまた好きな理由でもあります。

リズムもスローなバラードですね。

 

この歌の最大の魅力は

サビ前の音域の広さをものともせず

歌いこなす草野さんの声の伸び、

そして、サビの

「描いてる~う~う~う~」

高音域で上下する草野さんのファルセットの美しさ!

だと勝手に思っています。

本当に素敵です。

 

 

「君だけを描いてる」という一途さと

何とも懐かしい感じのアレンジで

このアルバムの中でも、

いやスピッツの歌の中でも

かなり好きな歌です。