また君に会いたいとか

日々の備忘録

祖母の家のデジャヴ

 

 

こんにちは、トパーズです。

 

 

ちょっとセンチな気持ちに陥った話をします。

 

 

 

母方の祖母の家は兼業農家で、

今はもう従兄の息子の代になっていて

屋敷はきれいに建て替えられています。

 

私が子供の頃は、まだ昔からの古い農家の建物で

納屋や離れがあって、

母屋には庭に面して長くて広い縁がありました。

 

屋敷の裏には藪が広がっていて

下の道から裏手に上がっていくと、

納屋の裏手側に繋がれている犬がいました。

 

母の実家であるその家は、

お盆頃には大勢の親戚が集まり賑やかでした。

私や妹は、久しぶりに会う従兄妹たちと遊びまわっていました。

 

伯父たちが歓談する座敷のビールや日本酒の匂い

母や伯母たちの笑い声で賑やかな台所の

バラ寿司や煮物の匂い

ひんやりとした夜気や寝具の匂い

早朝の草花の匂い

 

子供の頃祖母の家で過ごした記憶は

家の匂いや周りの田畑や山々の風の匂いに至るまで

はっきりと懐かしく思い出せるのです。

 

結婚して郷里を離れてからずい分経ちますが、

祖母の家の記憶は今でも鮮明です。

 

祖母が亡くなり伯父や伯母も亡くなり、

私自身はもうほとんど行っていません。

 

【イメージ画像】

 

 

福岡の今の家に越してきて、

あることに気づきました。

 

よく車で通る道の途中に、

昔の古い祖母の家を思わせる建物があるのです。

 

古びた母屋と納屋のような建物、

表に庭が広がり、

裏に藪があるところもそっくりです。

 

その佇まいはまるでデジャヴのように、

祖母の家を思い出させます。

 

いつも車からチラッと横目で見るだけですが、

そこだけ古い昭和にタイムスリップしたような

懐かしい景色が広がっているのです。

 

道を曲がったところにあるので、

家のそばまで行くことはありませんが、

通るたびに懐かしく幸せな気分になります。

 

福岡市郊外の住宅地に

こんな一角があるなんて夢のようです。

 

思いがけず、

すぐ近くで郷里の懐かしさを感じられる。

その嬉しさと安心感に慣れてしまっていたようです。

 

  

 

先日近くを通ると、

なんとその家は裏の藪もろとも

取り壊されていたのです。

 

うそでしょ?

 

その喪失感・・・・

 

もう人が住んでなくて、古いまま残っていたのでしょうか。

このご時世、マンションか何かが建つのかもしれません。

 

もうあの道で横を見ても、懐かしい景色はありません。

私の望郷のデジャヴはありません。

 

かつてここに懐かしい景色があったと、

その景色を懐かしむだけになるのでしょう。

 

とても寂しくなりました。

そこの持ち主も同じ思いかもしれません。

 

その景色を見ることが、

楽しみであり励みでもありました。

 

昔の古い祖母の家は、私の瞼の裏に留まっています。

 

 

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。